あの味へ ~味噌の記憶~

私は子どものころに食べた味噌汁の味が忘れられない。

麹が生きている母の手作り味噌。

お椀の下に沈んだ大豆と麦の粒々。
発酵した麹の独特な香り。

からだの細胞一つ一つが元氣になって喜ぶ。

大人になってから色々な味噌で作ったけど、
どうしても母のあの味と香りにたどり着けない。
だからあの味の味噌を造るために仕事にした。

あの味の味噌が完成したら、亡き母に
「この味覚えてる?」とお味噌汁を出したい。